- タイでロケ撮影するために必要な許可の全体像がわかる
- TFO(タイ映画局)への撮影許可申請の具体的なプロセスと必要書類を把握できる
- ビザ・労働許可(ワークパーミット)の種類と取得条件が整理できる
- 機材持ち込み時の通関ルールと注意点を事前に確認できる
- ドローン・ワイヤレスマイクなど撮影機材に関わる規制の概要がつかめる
映画、CM、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、リアリティ番組など、TFOが対象として公表する外国制作をタイで撮影する場合は、タイ映画局(TFO)の撮影許可を確認します。スチール撮影のみ、またはタイ国内でポストプロダクションだけを行う場合はTFO許可の対象外と案内されていますが、場所別許可・ビザ・就労手続は別に確認します。
必要な許可を確認しないまま撮影を進めると、現場で撮影を継続できないなど重大な支障につながります。公的な事件記録を確認できない処分事例は掲載せず、本記事ではTFOへの申請、ビザ、就労手続、機材通関、ドローン規制を一次資料に基づいて整理します。
DAYZERO BANGKOKでは、案件種別に対応できるTFO登録コーディネーターの確認、撮影許可、ビザ・就労手続、場所別許可など、タイ撮影の進行を日本語で整理します。登録番号などの資格情報は、案件で使用する証憑を確認してから提示します。
対象となる撮影の種類
タイ映画映像法(Film and Video Act B.E. 2551 / 2008年)第20条に基づき、外国人がタイで撮影するすべての映像制作にはTFOの撮影許可が必要です。具体的には以下が対象となります。
広告・TVCMをはじめ、ミュージックビデオ、テレビ番組、ドキュメンタリー、PR映像、リアリティ番組、ゲームショー、テレビドラマ、ドラマシリーズ、短編映画、長編映画が対象です。
許可不要なケース
以下のケースでは、TFOの撮影許可は原則不要です。
ポイント:許可不要なケース
スチール写真の撮影のみの場合、およびタイ国内ではポストプロダクション(編集・VFX等)のサービスのみを利用し、撮影自体は行わない場合はTFO許可は不要です。ただし、スチール撮影であっても撮影場所によっては別途許可が必要な場合があります。
全体フロー:コーディネーター選定から撮影開始まで
タイでのロケ撮影に必要な手続きの全体像は、大きく5つのステップに分かれます。
| ステップ | 内容 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. コーディネーター選定 | TFO登録済みの現地コーディネーターを雇う | — |
| 2. 撮影許可申請 | 必要書類をTFOに提出 | 書類準備:1〜2週間 |
| 3. 審査・承認 | Film, Video and Digital Media Committeeが審査 | 3〜10営業日 |
| 4. ビザ・労働許可取得 | メディアビザ(Non-Immigrant M)・ワークパーミット申請 | 並行して進行 |
| 5. 機材通関・撮影開始 | カルネ等で機材を持ち込み、撮影を実施 | 撮影許可取得後 |
ステップ1:TFO登録済みの現地コーディネーターを雇う
外国の映像制作者がタイで撮影を希望する場合、TFO登録済みの会社または個人コーディネーターを通じて申請します。ただし、長編映画、シリーズ、docudrama、fictionなどの大規模制作は、TFO登録個人では取り扱えないため、案件種別に対応できる登録区分を確認してください。
現地コーディネーターは、外国の映像制作者の代理としてTFOへの申請書類を提出するだけでなく、撮影許可の取得、関係省庁との調整、ビザ・労働許可の手配、機材の合法的な手配まで包括的にサポートします。
TFO登録済みのコーディネーター一覧は、TFO公式サイトの「Local Coordinator」メニューから確認できます。
ステップ2:必要書類を準備する
TFOが公表する共通の基本書類は6項目です。機材リストなどは、案件・撮影場所・申請様式に応じた追加書類として確認してください。
1. 現地コーディネーターから所管当局に宛てた申請書類。2. 外国の映像制作者によるコーディネーター選任書。3. TFO所定のApplication Form。4. 絵コンテ、内容概要、コンセプト、歌詞、台本などのコンテンツ資料。5. 撮影日程・撮影場所を記載したスケジュール。6. 撮影スタッフの氏名・パスポート番号・役職・入国予定日のリスト。追加書類はTFOと登録コーディネーターに確認します。
ステップ3:Film, Video and Digital Media Committeeによる審査
書類が受理されると、TFOはFilm, Video and Digital Media Committeeに対して承認を請求します。書類に不備がある場合は修正・再提出が求められます。
承認までの所要日数
| 撮影の種類 | TFO公表の審査目安 |
|---|---|
| TVCM、ミュージックビデオ、TV番組、PR映像、ドキュメンタリー | 3営業日 |
| fiction、映画、シリーズ、reality等 | 5〜10営業日 |
ポイント:審査は承認が保証されるものではありません。タイの国家安全保障・公序良俗・環境・タイの国としての尊厳に影響を与える内容が含まれる場合、許可が下りないこともあります。
撮影許可の費用
TFOへの撮影許可申請自体に申請料はかかりません。ただし、撮影現場に派遣される監視スタッフ(Monitoring Officer)の日当として1人あたり2,000バーツ/日が必要です。監視スタッフはTFO(観光省)から派遣され、撮影が許可条件に適合しているかを確認します。
注意:許可なし撮影のリスク
TFO公表の対象作品では、規模だけで許可不要と判断しません。必要な撮影許可、ビザ・就労手続、撮影場所固有の許可を分けて確認し、公的記録を確認できない処分事例は掲載しません。
タイでのロケ撮影、許可申請からまるごとお任せください
案件に対応できるTFO登録コーディネーターの確認、撮影許可、ビザ・就労手続、撮影場所の調整まで、日本語で進行します。
外国映画クルーのビザ:Non-Immigrant M
TFOの現行FAQは、外国映画制作で働くクルーにNon-Immigrant Mを案内しています。観光目的のビザ免除滞在と撮影就労を結び付けず、滞在日数や作品種別だけで独自の免除条件を設けません。
必要書類、発給条件、滞在期間は、タイ外務省のThai e-Visa、TFOのVisa案内と申請先のタイ大使館・総領事館で確認してください。撮影許可、ビザ、就労手続は別々に確認します。
2025年以降の変更点:e-VISA導入・TDAC義務化
タイの入国関連制度は2025年に大きく変わっています。撮影クルーの渡航時にも影響する主な変更点は以下の通りです。
e-Visaの世界展開(2025年1月〜):タイ外務省は2025年1月1日から、世界94のタイ大使館・総領事館でe-Visaを利用できると案内しています。申請可否・追加手続は管轄公館の公式案内を確認してください。
TDAC義務化(2025年5月〜):原則としてすべての非タイ国籍入国者は「タイデジタル到着カード(TDAC)」の対象です。到着日を含む3日前から公式サイトで提出し、対象クルー分を確認してください。
注意:TDAC未登録の場合、入国審査でトラブルになる可能性があります。渡航前に全スタッフ分の登録を完了させてください。
15日以内:作業開始通知(WP.34・WP.36)
TFOの現行Work Permit案内では、15日以内の作業はDepartment of Employmentへの作業開始通知としてWP.34とWP.36を案内しています。旧称のWP10だけで手続を説明せず、現行様式と添付書類を確認してください。
15日を超える場合:Work Permit(WP.25・WP.46)
15日を超える作業は、TFOの現行案内に基づきWP.25とWP.46を確認します。申請主体、本人出頭、受領方法、添付書類は、TFOとDepartment of Employmentの現行様式に従ってください。
公式資料:TFO「Work Permit」
申請費用
費用は申請区分と現行のDepartment of Employment手数料表で確認してください。旧資料にある750・1,500・3,000バーツや「バンコク市内3日以内は無料」を、2026年の外国映画クルーに一律適用できる一次資料は確認できないため、確定額として掲載しません。
カルネ(ATA CARNET)による免税持ち込み
プロの撮影機材をタイに一時的に持ち込む場合、ATA CARNET(カルネ)を利用することで関税・消費税の支払いを免除できます。カルネは「機材専用のパスポート」とも呼ばれ、撮影終了後に機材を持ち出す前提で免税措置を受けられる国際的な保証制度です。
事前申請が必要な機材カテゴリー
カルネでの通関は可能ですが、以下の品目についてはタイ到着前に別途申請が必要です。
銃器・弾薬・爆発物(小道具として使用する場合も含む)、仏像・芸術品・骨董品、ラジオ受信機および通信機器、植物や植え付け材料、生きている動物や動物の製品、薬品および化学製品が該当します。
注意:ワイヤレスマイクの周波数規制
通信機器のうち、特にワイヤレスマイクは要注意です。日本で一般的に使われているB帯(806.125MHz〜809.750MHz)のワイヤレスマイクは、タイでは使用が法律で禁止されています。違反した場合は5年以下の懲役または10万バーツ以下の罰金の対象となります。詳細は下記の記事をご確認ください。
タイの周波数規制に適合した機材のレンタルについては、弊社の撮影機材レンタルサービスもご活用いただけます。
国立公園・歴史公園・王宮・寺院での撮影
TFOの撮影許可を取得した後、撮影場所によっては追加の許可申請が必要です。国立公園、歴史公園(スコータイ・アユタヤ等)、王宮、寺院などで撮影する場合は、TFO許可証を提示した上で、各施設の管理当局に対して別途撮影許可を申請します。
撮影場所によっては追加のロケーションフィー(撮影場所使用料)が発生する場合もあります。具体的な費用や条件は、現地コーディネーターを通じて各管理当局に事前確認することを推奨します。
ポイント:TFO許可証がないと、撮影場所の追加許可申請自体が受理されないケースがあります。正規コーディネーターを通じたTFO許可の取得が最優先です。
ドローン撮影に必要な登録と許可
タイでドローンを飛行させるには、以下の登録・許可が必要です。NBTC(国家放送通信委員会)への無線周波数登録、CAAT(タイ民間航空局)への機体登録と飛行許可取得、保険の加入、撮影地の許可取得、管轄管理局の許可取得が必要です。
ドローン規制の詳細については、下記の記事で登録方法から飛行ルールまで網羅的に解説しています。
タイでのドローン撮影をプロに任せたい場合は、弊社のドローン撮影代行サービスもご活用ください。許可申請からパイロット手配まで一括で対応しています。
タイでの所得税・法人税の基本
タイは多くの国と二重課税条約を締結しており、映像制作者がタイと自国の両方で課税されることを防ぐ仕組みがあります。タイでの課税の基本は以下の通りです。
個人所得税は課税所得に応じて0%〜35%です。非居住者、源泉徴収、租税条約などで取扱いが変わります。外国人俳優等の10%源泉徴収は、許可を得た外国映画・TV撮影など所定条件を満たす場合の特則であり、すべての外国人俳優に一律適用される税率とは説明しません。税務専門家とタイ歳入局の現行案内を確認してください。
キャッシュリベート制度(最大30%)
タイ政府は外国の映像制作を誘致するため、タイ国内での支出額に応じて最大30%のキャッシュリベート(現金還付)を提供するインセンティブ制度を設けています。
| 条件 | リベート率 |
|---|---|
| タイ国内支出5,000万バーツ以上(基本リベート) | 15% |
| タイ国内支出1億〜1.5億バーツ | 追加 +5% |
| タイ国内支出1.5億バーツ超 | 追加 +10% |
| タイ人をキーポジションに起用 | 追加 +5% |
| タイの観光・ソフトパワー・ポジティブなイメージを促進 | 追加 +5% |
| 指定地方での撮影 | 追加 +3% |
| タイ国内でポストプロダクションを実施 | 追加 +3% |
現行TFO基準は金額上限をNo CAPとし、合計リベート率は最大30%です。追加条件を単純加算せず、TVCMは制度対象外であることを確認してください。
出典:TFO公式「Incentive Measures」
YouTubeやSNS用の個人撮影でも許可が必要?
TFOが公表する対象には広告、PR、ドキュメンタリー、MV、TV、reality、film等が含まれます。観光レベルの個人vlogなど境界事例を一律に断定せず、商業性、クルー、機材、撮影場所、配信目的を伝えてTFOに事前確認してください。
スチール撮影のみの場合は?
スチール写真の撮影のみの場合は、TFOの撮影許可は原則不要です。ただし、撮影場所(国立公園、寺院、政府施設等)によっては場所ごとの撮影許可が別途必要になる場合があります。
コーディネーターなしで撮影するとどうなる?
TFO許可が必要な制作では、対応可能な登録コーディネーターを通じて申請します。公的な事件記録を確認できない「機材没収・身柄拘束の事例」は掲載せず、無許可撮影の具体的な処分はTFOと関係当局へ確認してください。
許可申請は何日前までに行うべき?
TFO公表の審査目安は、必要書類が整った後、TVCM・MV・TV・PR・ドキュメンタリー等で3営業日、fiction等で5〜10営業日です。コーディネーター選定、翻訳、書類準備、場所別許可、修正・再提出の期間は別に見込み、余裕を持って進行してください。
タイでのロケ撮影を予定している制作チームは、以下のチェックリストを渡航前に確認してください。
- ☐ 案件種別に対応できるTFO登録コーディネーターを確認した
- ☐ TFOの共通6書類と案件別の追加書類を確認した
- ☐ TFO撮影許可と場所別許可を確認した
- ☐ 外国映画クルーのNon-Immigrant M要件を確認した
- ☐ 公式Thai e-Visaで申請条件を確認した
- ☐ 対象となる非タイ国籍クルーのTDACを提出した
- ☐ 15日以内はWP.34・WP.36、15日超はWP.25・WP.46を確認した
- ☐ 機材通関の手配(カルネ等)を確認した
- ☐ ワイヤレスマイクの周波数・出力・NBTC適合を確認した
- ☐ ドローン使用時はCAAT・NBTC・保険・運航許可・場所別許可を確認した
タイでの撮影、まるごとご相談ください
撮影許可の取得、ビザ・労働許可の手配、機材レンタル、ドローン撮影、現地クルー手配まで、タイでの撮影をワンストップでサポートします。日本語で対応いたしますので、はじめてのタイロケでもご安心ください。

タイで現地採用としてIT企業での営業・WEBマーケティングを数年担当。WEBマーケティングで得た経験や知識を活かしYouTubeを2017年に立ち上げ、翌年2018年にWeb広告代理店事業を設立。SEO対策、動画制作、SNSマーケティングなど幅広くWebマーケティング事業を展開。現在代表を勤める。
コメント