最終更新日:2024年9月16日
ドローン技術が進化し、趣味の撮影から商業用途まで、ドローンの使用範囲はタイでも急速に拡大しています。特にタイのような観光地では、壮大な景色を空から捉えるためのドローン撮影は、映像制作者にとって欠かせないツールとなりつつあります。しかし、ドローンを安全かつ法律を遵守して使用するためには、適切な知識と準備が不可欠です。
この記事では、タイでドローンを飛ばす際の法的要件、必要な手続き、そして遵守すべきガイドラインについて詳しく解説します。ドローンを用いた撮影が持つ可能性を最大限に引き出すと同時に、法的なトラブルを避けるための実用的な情報を提供することで、読者の皆様がタイでのドローン飛行を安心して楽しむためのサポートを目指します。
タイでドローンの飛行ラインセンスを持ち、日本人、タイ人のドローンパイロットの手配も可能です。お気軽にお問い合わせください。
タイでのドローン撮影における基本的な注意点
タイで1つのドローンを飛ばすのには、日本同様に面倒な手続きが多々あります。また、空港周辺(スワナプーム空港やドンムアン空港等)やお寺、公園、政府機関周辺での無人航空機(ドローン)は飛行してはいけないと航空法で定められています。
GEO ZONEより確認が可能
上図の通りスワナプーム空港やドンムアン空港周辺ですと、空港周辺は赤色・青色に囲まれています。赤色のエリアは「Restricted Zones」と呼ばれ、飛ばすことが基本的には不可能です。ドローンを飛ばそうとしても、強制的にコントロールができないようになっているので事前申請が通っている場合を除いては一切飛ばすことができません。
グレーのエリアは「altitude zone」は高度制限があります。こちらも事前申請が許可されていない限り、ドローンに高度制限空がかかります。青色は、許認可空域となっていますが同様に制限がかかります。
上記のように定められている場所もありますが、他にも飛ばすためには許可が必要な場所がタイは意外と多いのです。 バンコク市内は、場所によって許可が必要です。また、タイの人気ビーチや島、お寺なども許可がないと飛ばせない場合があります。規制を無視して飛行されている方々もいらっしゃいますが、違法であることを認識しておいてください。実際に違法にドローンを飛ばして刑事罰につながっているケースも多数あります。
タイでドローンを飛ばすには
まず、タイで飛ばすには下記3点の取得が必要です。
- ドローン保険への加入
- NBTC(National Broadcasting and Telecommunications Commission)に登録
- CAAT(Civil Aviation Authority of Thailand、タイ国営民間航空局)に登録
CAATによると上記3点がない状況でのフライトは、航空法第27条及び第78条に基づき「1年以下の懲役、または4万バーツ以下の罰金、または両方(懲役+罰金)」となります。実際にタイで過去に起きたドローン関連のニュースや罰金、罰則については「飛行許可無しでタイでドローンを飛ばすとどうなるのか?」で詳しく事例を添えて説明しておりますので、ご一読いただければ幸いです。
アプリで申請ができるOPENSKY(バンコク市内のみ)
バンコク市内の限られた範囲のみが対象となりますが、OPENSKYと呼ばれるドローン申請アプリがタイの航空局より開発されました。飛ばしたい地域の担当局に半自動的に申請をしてくれるアプリです。使ってみたのですが、申請が通る時もあれば全く申請が通らない場合もありますが、多少は申請が楽になるはずですので使ってみてください。
『OpenSky』とは? OpenSky(オープンスカイ)とは、バンコク及び近郊のエリアでのドローン飛行許可をより楽に申請することができるアプリです。2022年9月1日にタイの航空無線局が公開した「OpenSky」アプリです。 このアプリを通して飛行できる範囲は「ドンムアン空港」から半...
日本からタイにドローンを持ち込める?
日本からドローンをタイに持ち込むことは可能です。ですが、短期旅行者の場合は正式に飛行させることは非常に難しいのが現状です。日本やタイ以外の海外で買ったドローンをタイ国内で飛ばすには、オンラインでの登録ができません。実際にNBTC等の窓口に足を運び、ドローンの実物を持って行って登録する必要があります。
また、飛行させるには上記した「①ドローン保険への加入」「②NBTCへのドローン情報および個人情報登録」「③CAATへの登録」が必須となる上に「撮影地の土地のオーナーへの許可取得」も必要となります。(場所によっては飛行禁止エリアになっていたりします。警察や軍隊への許可も必要になる場合もあります。)外国人観光客や短期旅行者・出張者が短期で申請するのは長期滞在を除いては現実的に不可能です。
「じゃあ、タイでドローンレンタルすればいいか!」とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、ドローンのレンタルはタイでは禁止されています。NBTC、CAATに登録してあるドローンとそのドローンのパイロットが操縦もしくは一緒に立ち会う必要があります。観光で飛ばしている外国人をたまに見かけますが、警察に見つかった場合は、罰則が課せられますので自己責任でお願いいたします。罰則についてはこちらの記事で解説しております。
日本から持ち込むドローンを飛ばす方法
NBTC・CAAT・保険の登録が必要なことは説明いたしましたので、実際に登録する方法について説明いたします。可能ではありますが、手間と時間が結構かかります。
NBTCを登録にするには、タイへの「入国許可書(もしくはその他VISA)」が必要です。日本からオンラインでの登録はできません。タイで買ったドローンであれば問題なく登録が可能ですが、国外のドローンは全てNBTCに直接行き、入国許可書等を提示する必要があります。NBTCは、窓口登録であれば当日のうちに許可がおりるケースが多いです。
CAATについては、オンラインでの登録ができますが、ドローン保険を取得しておく必要があります。CAATは大体1週間程度の時間を要します。
尚、これだけでは飛行は場所によってはできませんので注意してください。撮影する場所の許可が必要となります。これは、撮影場所によって許可が必要かどうかが変わってきますが、バンコク市内や人が多くいるエリアは基本的に許可無しでの飛行は違法です。ビーチであっても飛行禁止のビーチもあります。一方で許可が不要なエリアもあります。飛行する前に、CAATに飛行が可能なエリアか確認することをお勧めします。弊社で飛行許可の確認を代行することもできます(有料)ので、ご興味がある方はお問い合わせください。
ドローンの登録が必要な機体
カメラが付いている撮影用のドローンは必ず登録が必要となります。
- 重量が2kg以下もしくは撮影用ではないドローンは登録の必要がありません。
- 25kg以上のドローンは運輸大臣からの許可証がないと登録が不可となります。
- 登録した機材の有効期限は2年です。
CAAT / NBTC / ドローン保険について
タイでドローンを飛ばすにはCAAT、NBTC、ドローン保険の加入が義務付けられています。申請方法については「タイで買ったドローンを簡単にCAAT、NBTCに登録する方法」の記事をご確認ください。
NBTCについて
NBTC(タイ国家放送通信委員会)は、ドローンの機体・コントローラーを登録する機関です。オンラインでの登録が出来ないと書かれているブログが多いですが、オンラインでの登録は可能です。但しタイで買ったドローンに限ります。日本や他国で買ったものは窓口へ行く必要があります。 また、NBTCに登録するには下記の書類が必要になります。
- パスポート原本及びパスポートのコピー(パスポートと同様のサイン付き)
- タイ国内の滞在先住所とその証明
- 登録するドローンの期待とコントローラーのシリアルナンバーが見える写真
- 登録するドローンの実機写真(正面・後方・上下左右)
- NBTC登録用紙
有効期限についてですが、基本的にはビザの期限に準じ、登録が完了するとNBTCのWEB上で登録情報が確認できます。
CAATについて
CAATとは「Civil Aviation Authority of Thailand」の略称で、日本語では「タイ民間航空局」です。CAATは、ドローンをタイで飛行する際に必要なライセンスを発行しています。いわゆる車の運転免許と同じようなものです。NBTCと保険だけの登録では飛ばすことは禁止されておりますので、CAATの登録も必要となっております。登録方法は2つあり、共に無料での登録が可能です。期間は1週間程度で完了します。
- CAATに訪問して登録
- WEB上で登録(タイで買ったドローンのみ)
ドローン保険について
タイで飛行させる場合、ドローン保険は必須です。CAATへの登録時に必要な情報となるため、保険がないと登録ができません。また、ドローンの機体ごとに保険をかける必要があります。どの保険会社も100万バーツまで保証されているようです。タイにも多くの保険会社がありますので、よければ下記ドローン保険を販売している会社をご覧ください。もしくは、タイ保険一覧【2022年度版まとめ】PDFもございますので、詳細が気になる方はご確認ください。
保険会社名 | 年間費用 | 保険金(概算) |
Mittare Insurance | 1,800 THB ~ | 1,100,000 THB~ |
Dhipaya Insurance | 649 THB ~ | 1,000,000 THB~ |
Purple Insurance | 619 THB ~ | 1,000,000 THB~ |
Dronethai Insurance | 3,000 THB ~ | 1,000,000 THB~ |
各種事項に登録するには、実際に足を運んで登録したり、ネットで登録したり、そもそも全て英語しかないので面倒だったりと登録する気さえなくなるようなハードルがいくつもありますが、弊社でドローン代理登録が可能ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
NBTCやCAATの有効期限・再更新について
NBTCは、一度登録さえしてしまえば再度登録を行う必要はありません。CAATは、2年毎に更新が必要となります。また、保険は基本的には1年契約プランの商材が多いので、保険は毎年更新し、CAATへの情報更新が必要となります。その場合、CAATより「保険有効期限切れ」のお知らせが表示されますので、忘れずに更新しましょう。
ドローン飛行に関する禁止事項
CAATを登録する際に承諾する禁止事項一覧です。タイ語のみの記載のため、簡単に日本語に和訳したものを下記に記載いたします。
飛行前の注意事項
- ドローン本体と管理システム(リモートコントローラーなど)が安全に飛行できる状態であることを確認
- 飛行するには飛行エリアの所有者から許可を得る必要
- 飛行する空域の領域と周辺のエリアを把握
- 万が一事故が発生した緊急時の対策を準備
- メーカーのマニュアルに従って機体・コントローラーのメンテナンスが必要
- 航空機制御および航空機システムに関する専門知識が必要
- 航空交通規則の知識とそれらの理解が必要
- 飛行する際には、登録書類を常に持ち歩く必要があり
- 事故に備えて飛行中いつでも使用できる消防設備が必要
- 事故により第三者の身体、生命、財産に100万バーツ以上の損害を与えた場合の責任を負う航空機保険に加入している必要があります。保険は、航空機のパイロットまたはドローンの登録に添付する必要があります。有効期限が切れる30日前までのものであること
飛行時の注意時点
- 生命、身体、財産を危険にさらし、他人に危害を与える飛行をすることは禁じられています。
- タイの航空プレスリリースで発表されているように制限区域、危険地帯(政府機関、病院等)の飛行は禁止。しかし、オーナーが許可さえいれば可能です(病院のオーナーがドローン撮影依頼した場合など)
- 航空機の離着陸周辺には、障害物があってはなりません。
- 航空機のパイロットは、飛行中は常に航空機を目視できる範囲での飛行をしてください。航空機のカメラまたは他の同様の機器による航空機の操作を禁止します。
- 飛行できる時間帯は機体が目視しやすい日が出ている間のみ。日の出から日の入りまで
- 雲の近くや雲の中の飛行を禁じます。
- 許可がない限り、空港または航空機の離着陸エリアから9km以内で飛行することは禁じられています。
- 地上90メートル(300フィート)を超えての飛行を禁じます。
- 人々が集まる都市、村、コミュニティ、または地域の上空の飛行を禁じます。
- ドローン同士を鞄等に無理に収納しないでください。
- 他人のプライバシーを侵害を禁じます。
- 他人への迷惑を起こさぬよう飛行してください。
- 危険物やレーザー放射装置を航空機と一緒に送ったり運んだりすることを禁じます。
- 2kg以下のドローンは 人、車両、建物から水平距離が50メートル未満の距離に接近する飛行は禁じられています。2kg~25kgの場合は人、車両、建物から水平距離が50メートル未満の距離に接近する飛行は禁じられています。
- 事故や問題が発生した場合は、速やかにCAATに連絡してください(営業内電話番号:02568-8800 内線1504, 1505 、FAX:025-688-848 営業時間外の場合081-839-2068またはメール:uav@caat.or.thまでご連絡ください)
バンコク市内の飛行禁止エリアについて
下記の場所が禁止されています。(参考:https://www.caat.or.th)
- ท่าอากาศยานดอนเมือง (ドンムアン空港)
- กองพันทหารช่างที่ 1 รักษาพระองค์
- สวนรถไฟ(ワチラベンチャタート公園)
- สนามราชมังคลากีฬาสถาน(ラチャマンカラ国立競技場)
- สวนหลวงร.9(ラーマ9世公園)
- ป่าในกรุง(メトロフォレスト)
- สนามบินสุวรรณภูมิ(スワナプーム空港)
- ตลาดนัดรถไฟรัชดา(鉄道市場ラチャダー)
- เอสพลานาด รัชดาภิเษก(エスプラナード)
- อนุสาวรีย์ชัยสมรภูมิ(戦勝記念塔駅)
- พระตำหนักจิตรลดารโหฐาน(チットラダー宮殿)
- สะพานพระราม8(ラマ8世橋)
- ท่ามหาราช(ターマハラート)
- วันพระแก้วและเขตวังฯ(ワットプラケオ)
- วันอรุณราชวราราม(ワットアルン)
- สวนลุมพินี(ルンピニ公園)
- สวนเบญจกิตติ(ベンジャキティ公園)
- สวนสาธารณะเฉลิมพระเกียรติ 6 รอบ พระชนมพรรษา(H.M. King IX Park)
公園やお寺、人気観光地での飛行はNGのようです。ここに記載のない場所も飛ばせない場合がありますので、飛ばす際には必ずご確認いただくようお願いいたします。
なお、バンコクでの撮影はタイ警察への連絡も必要です。申請後にCAATから指示が来ますが、撮影当日の朝もしくは前日にはタイ警察に電話もしくは直接出向き飛行する旨を伝える必要があります。
タイでドローン動画・写真撮影のお問い合わせ
タイでのドローン映像制作(動画・写真)につきましては、お気軽にお問い合わせください。タイ全国にいるドローンパイロットがいつでもどこへでも出張いたします。
タイでドローンの飛行ラインセンスを持ち、日本人、タイ人のドローンパイロットの手配も可能です。お気軽にお問い合わせください。
タイで現地採用としてIT企業での営業・WEBマーケティングを数年担当。WEBマーケティングで得た経験や知識を活かしYouTubeを2017年に立ち上げ、翌年2018年にWeb広告代理店事業を設立。SEO対策、動画制作、SNSマーケティングなど幅広くWebマーケティング事業を展開。現在代表を勤める。