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東南アジア6市場の2025年訪日市場比較。訪日客数、旅行支出、リピーター、個人旅行など各市場の主な特徴

東南アジアの訪日インバウンド市場を比較|タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・ベトナム・フィリピン




東南アジアからの訪日客を増やしたいとき、「まずタイを狙うべきか、それともシンガポールやベトナムか」という判断は、訪日客数だけではできません。使う金額、再訪の多さ、個人旅行の割合、予約経路まで見ると、同じ東南アジアでも市場の性格はかなり違います。

この記事では、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの6市場を、2025年の確定値で比較します。自治体・DMO、宿泊施設、観光施設、体験、小売など、事業の違いに応じて優先市場を絞るための材料としてご覧ください。

東南アジアの訪日市場を比較する

東南アジア6市場の2025年訪日市場比較。訪日客数、旅行支出、リピーター、個人旅行など各市場の主な特徴

先に結論:東南アジアに「全事業共通の1位」はない

  • 規模とタイ市場での実行可能性を重視するならタイ。6市場で訪日客数が最も多く、リピーターも多い市場です。
  • 国全体の平均支出と個別手配率を基準に比較するならシンガポール。1人当たり旅行支出と個別手配率が6市場で最も高い結果です。ただし、これはタイの富裕層・高所得層を対象外にする意味ではありません。
  • 足元の伸びを重視するならマレーシアとインドネシア。2025年の訪日客数は、いずれも前年比20%を超えて伸びました。
  • 一定のボリュームと個人旅行の多さを両立したいならフィリピン。訪日客数は6市場で2番目、個別手配は90.0%です。
  • 新規層と団体流通の両方を検討するならベトナム。初訪日の割合が高い一方、団体ツアーと店頭予約の比率も6市場で最も高くなっています。

したがって、最初に決めるべきなのは「どの国が人気か」ではなく、自社の商品を、どの旅行者に、どの経路で買ってもらうかです。


東南アジア6市場の訪日客数・成長率・旅行支出を比較

まず市場の大きさと1人当たり旅行支出を並べます。人数は日本政府観光局(JNTO)の2025年確定値、旅行支出は観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」の全目的データです。

市場 訪日客数 前年比 1人当たり旅行支出
タイ 1,233,103人 +7.3% 205,246円
フィリピン 885,023人 +8.1% 187,760円
シンガポール 726,251人 +5.1% 319,901円
ベトナム 678,594人 +9.2% 303,379円
インドネシア 640,577人 +23.7% 205,276円
マレーシア 636,575人 +25.6% 222,322円

出典:JNTO「訪日外客統計」2025年確定値、観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」。前年比は小数第2位を四捨五入。

東南アジア6市場の2025年訪日客数、1人当たり旅行支出、前年比を横並びで比較した図

6市場の訪日客数を合計すると約480万人です。ただし、人数が多い市場ほど1人当たり支出も高いわけではありません。たとえばタイは最大市場ですが、国全体の1人当たり旅行支出ではシンガポールとベトナムが上回ります。これは市場全体を比較するための平均値であり、タイ国内の富裕層・高所得層や高支出の訪日リピーターの可能性を否定するものではありません。高単価商品では、国別平均だけで対象国を決めず、狙う所得層、訪日経験、購入目的まで分けて検証します。

前年比だけで判断するのも危険です。高い成長率は有望さを示す一方、前年の回復状況、航空座席、祝日、為替などの影響を受けます。実務では、市場規模、成長率、支出、自社の販売能力を一緒に見ます。


リピーター・個人旅行・予約経路で見ると違いがはっきりする

市場 リピーター 個別手配 Web予約
タイ 71.2% 75.9% 77.9%
シンガポール 75.3% 95.2% 88.7%
マレーシア 56.0% 86.8% 75.8%
インドネシア 52.8% 88.0% 71.0%
フィリピン 64.7% 90.0% 80.2%
ベトナム 42.3% 67.2% 54.4%

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」。リピーターは「今回が初めて」の割合を100%から差し引いた参考値。予約方法は旅行出発前に利用した方法。

この表は、施策の作り方に直結します。個別手配とWeb予約が多い市場では、検索やSNSで認知をつくり、公式サイトやオンライン予約へ送る設計が重要です。一方、団体や店頭予約が比較的多い市場では、消費者向け発信だけでなく、旅行会社や現地パートナーとの流通設計も検討する必要があります。

リピーターが多い市場には、東京・大阪・京都の定番だけでなく、地方、季節限定、趣味性の高い体験を提案しやすくなります。ただし「リピーターが多い=地方へ来る」とは限りません。空港からの移動、予約のしやすさ、言語、食事、決済まで整って初めて、興味を予約に変えられます。


6市場それぞれの特徴と、狙うときの注意点

タイ:最大規模と高い再訪率。地方・季節テーマへ広げやすい

タイは2025年に123万3,103人で、6市場の中で最大です。リピーターは71.2%、個別手配は75.9%。初めての日本旅行だけでなく、2回目以降の旅行で地方や特定の季節、テーマ性のある体験を提案できる余地があります。

一方、年間の来訪は均等ではありません。2025年は4月と12月が多く、6~8月は落ち込みました。雪、桜、紅葉などの季節商品は関心を得やすい反面、ピーク期は競合も強くなります。夏は「安いから広く売れる」と決めつけず、屋内体験、朝夕の行程、避暑地、短い移動など、暑さや歩行負担を減らせる商品との相性を確認すべきです。

タイを優先候補にする場合は、タイ人訪日客の最新データで月別推移と消費を確認し、タイ人インバウンド集客の全体像へ進むと、具体的な施策を整理できます。

シンガポール:平均支出と個人旅行率が高い。高単価商品も候補

1人当たり旅行支出は31万9,901円で6市場中トップ。個別手配95.2%、Web予約88.7%、リピーター75.3%も6市場で最も高い値です。この国別平均では、上質な宿泊、食、買い物、専門性の高い体験などの候補市場になります。ただし、高単価商品をシンガポールだけに限定する根拠にはなりません。タイなど他市場でも、富裕層・高所得層や高支出層を分けて見る必要があります。

ただし、人口規模が小さく、訪日客数はタイやフィリピンより少ないため、大量集客だけをKPIにすると投資判断を誤ります。客数ではなく、予約単価、粗利、再訪、紹介まで測れる事業に向いています。

マレーシア:2025年の伸びが最大。食・礼拝などは客層別に確認

訪日客数は63万6,575人、前年比25.6%増で6市場最大の伸びでした。個別手配86.8%で、Web上の情報整備と予約導線が重要です。

マレーシアは文化・宗教・言語の背景が多様です。「マレーシア向け」と一括りにせず、どの地域・言語・客層を狙うのかを先に決めます。ムスリム旅行者を対象にする場合も、ハラール対応の可否を曖昧にせず、食材、調理環境、礼拝場所など、提供できる情報を具体的に示すことが必要です。

インドネシア:高成長と個人旅行。都市・客層を絞った設計が必要

訪日客数は64万577人、前年比23.7%増。個別手配は88.0%です。大きな人口を持つ市場ですが、人口の多さをそのまま訪日需要と見なしてはいけません。出発都市、所得層、訪日経験、航空便、旅行時期を絞って考える必要があります。

平均泊数は15.3泊ですが、これは観光だけでなく全目的を含む平均です。一般のレジャー旅行が必ず長期滞在になるという意味ではありません。宿泊日数を前提に商品を作る前に、狙う層の旅程を別途確認します。

フィリピン:訪日客数は2番目。英語情報と直接予約を整えやすい

訪日客数は88万5,023人で6市場中2番目。個別手配90.0%、Web予約80.2%で、英語の情報発信から予約までをつなぐ施策を検討しやすい市場です。リピーターも64.7%あり、定番観光地以外への提案余地があります。

1人当たり旅行支出は18万7,760円で6市場中最も低いため、人数の大きさだけで売上を予測しないことが重要です。高単価商品なら価値の説明と対象層の絞り込み、幅広い商品なら予約しやすい価格帯と導線を設計します。

ベトナム:新規訪日が多く、流通設計も重要

1人当たり旅行支出は30万3,379円でシンガポールに次ぐ水準です。初訪日の割合は57.7%と6市場で最も高く、定番の日本体験を分かりやすく伝える余地があります。

一方、個別手配67.2%、Web予約54.4%は6市場で最も低く、団体ツアー29.0%、店頭予約37.4%は最も高い結果です。自社サイトやSNSだけで完結させず、旅行会社などの流通も含めて設計する方が現実的な場合があります。平均泊数45.3泊は全目的の平均で、就労・留学など長期滞在の影響を受けるため、観光商品の想定泊数にはそのまま使えません。


雪・桜・紅葉・夏は、どの市場に売るべきか

季節テーマは東南アジア向けの強い入口になりますが、「この国の人は全員これが好き」という組み立ては避けるべきです。JNTOの東南アジア全体調査では、関心テーマとして美食、テーマパーク、アート、買い物などが上位にあり、スキー・スノーボードも一定の関心が確認されています。ただし、これは東南アジア全体の値であり、各国の需要を同じものとして扱う根拠にはなりません。

商品 優先して確認する条件 訴求前に解消したい障壁
雪・スキー 雪への関心、直行・乗継便、冬季休暇、用具レンタル需要 防寒着、雪道移動、初心者対応、保険、子どもの安全
旅行可能時期、開花予測への許容、周遊意向 混雑、価格上昇、開花時期の変動、代替スポット
紅葉 再訪者、地方周遊、写真・自然体験への関心 見頃の変動、公共交通、日没時間、予約情報
夏・自然体験 避暑地、屋内・朝夕体験、祭り、価格重視層 暑さ、湿度、日差し、長い屋外移動、台風・豪雨

たとえばタイ市場で雪を扱うなら、「雪が好き」という一文だけでは予約につながりません。初めて雪に触れる人が困る点まで説明し、服装、レンタル、移動、初心者向け体験をセットで見せる必要があります。詳しくはタイ人旅行者に雪体験を届ける方法で整理しています。


事業別:最初に比較すべき市場

自治体・DMO

地域の知名度が低い段階では、来訪者数よりも「日本旅行を比較中か、まだ興味段階か」を見ます。JNTOの調査では、シンガポールとフィリピンは比較段階、タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナムは興味段階の層が最も大きい結果でした。前者には具体的な旅程・交通・予約情報、後者には地域を知るきっかけとなる映像やテーマ訴求が必要です。

宿泊施設

客室単価を重視するなら、国全体の平均支出に加え、対象とする所得層、宿泊単価、訪日経験を分けて比較します。シンガポールは平均支出と直販率の高い候補です。タイは市場規模と再訪者の多さに加え、富裕層・高所得層へ高単価な宿泊や地方滞在を提案する余地もあります。フィリピンは英語導線との相性を検討できます。

体験・アクティビティ

体験は興味だけでなく、予約可能な時間、年齢制限、服装、集合場所、キャンセル条件まで伝える必要があります。個人旅行が多い市場には直接予約、団体比率が高い市場には旅行会社向けの卸条件も用意します。

小売・商業施設

総支出だけでなく、買い物支出を確認します。2025年の買い物支出は、シンガポールが10万620円で6市場中最も高く、タイ6万5,065円、マレーシア6万6,860円が続きます。来店数を狙うのか、高単価商品の購入を狙うのかで対象市場は変わります。


対象国を決める7つのチェック項目

東南アジアの対象市場を決める5段階。商品、顧客、販売経路、受入条件を確認し、1から2市場で検証する
  1. 商品との相性:価格、季節、体験時間、年齢、食事、移動条件が合うか。
  2. 狙える人数:国全体の訪日客数ではなく、自社の地域・季節・客層まで絞った規模があるか。
  3. 売上の可能性:1人当たり支出だけでなく、自社カテゴリへの支出、予約単価、利益を見込めるか。
  4. 旅行段階:初訪日向けの定番商品か、リピーター向けの地方・テーマ商品か。
  5. 販売経路:自社サイト、OTA、SNS、旅行会社のどこで予約を受けるか。
  6. 受入体制:言語、食事、決済、移動、問い合わせ、安全情報を提供できるか。
  7. 実行体制:現地の言語と文化を理解し、広告・SNS・取材・改善を継続できるか。

この7項目を5段階で採点すれば、訪日客数だけのランキングより、自社に合う市場を比較しやすくなります。特に「実行体制」が弱い国を同時に広げると、翻訳しただけのページが増え、検証できないまま予算が分散します。最初は1~2市場に絞り、検索、SNS、予約、問い合わせの数字を追う方が現実的です。


タイを優先すべき事業、まだ優先しなくてよい事業

タイ

タイが有力なケース

  • 再訪者に地方や季節体験を提案できる
  • タイ語で認知から予約まで継続改善できる
  • 雪、花、紅葉、食、買い物など明確な旅行理由がある
  • バンコクを中心とする現地施策と連携したい

比較

他市場も比較すべきケース

  • 国全体の平均支出だけを基準に市場を比較したい
  • 英語だけで一定範囲の運用を始めたい
  • 団体旅行会社との流通が中心になる
  • 既存顧客データで別市場からの反応が強い

DAYZEROは6市場を同じ深さで支援する会社ではありません。公式統計を使って比較したうえで、タイを選ぶ企業・自治体に対し、バンコクの現地拠点から調査、タイ語コンテンツ、SNS、広告、KOL、訪日導線の改善までつなげることが役割です。

タイ市場を検討する段階では、まずタイ人5,000件の公開投稿調査で旅行者の言葉を確認し、施策はタイ向けSNS集客タイ向け訪日広告KOL・FAMツアーから必要なものを選べます。


よくある質問

東南アジアのインバウンドで、最初に狙うべき国はどこですか?

一律の正解はありません。訪日客数とリピーターの多さならタイ、高い旅行支出と個人旅行ならシンガポール、2025年の成長率ならマレーシアとインドネシアが有力です。自社の商品、販売経路、受入体制を合わせて決めます。

英語ページを作れば6か国に対応できますか?

比較テストの入口にはなりますが、6市場を十分にカバーできるとは限りません。検索語、SNS、旅行情報の探し方、予約経路は市場ごとに異なります。反応が見えた市場から、現地語と市場別の導線へ深めるのが現実的です。

タイ人向けには雪・桜・紅葉のどれが有効ですか?

いずれも旅行理由になり得ますが、季節名だけでは不十分です。雪なら服装と初心者対応、桜・紅葉なら見頃の変動と混雑、交通、代替候補まで提示します。自社地域へのアクセスと予約可能な商品が揃うテーマから始めます。

複数国へ同時に広告を出すべきですか?

予算と運用体制が限られる場合は、最初から広げすぎない方がよいでしょう。1~2市場で、広告のクリックだけでなく、予約ページ到達、問い合わせ、予約、売上まで測ります。その結果を見て対象国を増やします。


まとめ:国の順位ではなく、自社との相性で選ぶ

東南アジア6市場は、人数、支出、再訪、旅行手配のどれを見ても同じ順位にはなりません。タイは市場の大きさと再訪者の多さに加え、富裕層・高所得層を分けて狙える市場です。国全体の平均支出と個人旅行率ではシンガポール、足元の成長ではマレーシアとインドネシア、英語と個人旅行ではフィリピン、初訪日層と流通連携ではベトナムも候補になります。

大切なのは、国を決めてから商品を合わせるのではなく、自社の商品・地域・受入体制に合う市場を選ぶことです。タイを候補にした方は、タイ人インバウンド集客の完全ガイドで、調査から集客、予約導線までの全体像をご確認ください。

タイ市場を選ぶべきか、数字から一緒に整理します

DAYZEROはバンコクを拠点に、タイ人旅行者の調査、タイ語コンテンツ、SNS・広告、KOL施策、訪日サイトの導線改善を支援しています。最初から施策を決めるのではなく、地域・商品・目標にタイ市場が合うかを確認するところからご相談いただけます。

タイ市場を検討している企業・自治体の方へ
公式データと現地の旅行者行動をもとに、対象商品、発信内容、タイ語ページ、SNS、広告、KOL、予約導線の優先順位を整理します。

ACTION 1

タイ向けインバウンド集客支援を見る

タイ市場に合う施策と実施範囲を相談したい場合はこちらをご覧ください。

ACTION 2

タイ人インバウンド集客の全体像を見る

市場データ、旅行者特徴、SNS、広告、KOL、予約導線をまとめて確認できます。



出典・データの見方

注:旅行支出は全目的の訪日客を対象とし、日本国内での支出にパッケージツアーの国内収入分を加えた数値です。リピーター率は初訪日割合を100%から差し引いた参考値です。平均泊数は就労・留学などを含む全目的平均のため、一般の観光旅行日数とは一致しない場合があります。各数値は公表資料の更新により改定されることがあります。

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