タイでドローンを飛ばすには、事前に関係機関からの飛行許可を取得することが法律で義務付けられています。かつては複数の政府機関に個別に連絡を取り、承認まで5〜7日を要するのが当たり前でした。しかし、2022年9月1日に「Open Sky(オープンスカイ)」アプリが公開されたことで、この煩雑なプロセスが劇的に改善されました。
本記事では、タイ国内のドローン運用者・在タイ日本人・旅行者向けに、Open Skyアプリの概要・使い方・申請手順・注意事項を日本語で徹底的に解説します。
この記事は「【2026年最新】タイのドローン規制を完全解説|登録・許可・飛行ルールの全手順」の詳細記事です。規制の全体像を先に知りたい方はそちらをご覧ください。
この記事でわかること
- タイのドローン飛行許可申請アプリ「Open Sky」の概要と、AEROTHAI・CAAT・Delv Aerospaceによる開発背景
- 従来の申請方法(承認まで5〜7日・各機関への個別連絡)と比較した、Open Sky導入後の具体的な改善内容(承認期間1〜2日・一括申請対応)
- Open Skyアプリの登録から申請送信までのステップと、事前に準備すべき必要書類(土地オーナー許可証・ドローン保険証明書など)
- 25kg以上の機体・夜間飛行・高度90m超など、Open Sky申請の対象外となるケースと追加申請が必要な条件
- Pending(保留)ステータスが長引く場合の対処法など、実際の運用で直面しやすい注意点
Open Sky(オープンスカイ)とは、タイ国内でのドローン飛行許可をスマートフォンから簡単に申請できるアプリです。
正式にはUAS Traffic Management(UTM)システムとして位置づけられており、単なる申請ツールにとどまらず、ドローンの空域管理・関係機関への情報共有・安全な飛行環境の整備を一元的に担います。
開発・運営の背景
Open Skyは以下の3者による共同プロジェクトとして開発されました。
- AEROTHAI(Aeronautical Radio of Thailand Co.):タイ航空無線株式会社。タイの航空交通管制を担う国家機関で、Open Skyの運営主体。
- CAAT(Civil Aviation Authority of Thailand):タイ民間航空庁。ドローン規制の主管当局。
- Delv Aerospace Company:ソフトウェアの開発を担当。
AEROTHAIのバンコクターミナル航空管制上級ディレクターであるThaleingsak Phathong氏、同社社長のNopasit Chakpitak氏が中心となってプロジェクトを推進しました。
アプリのダウンロード
- iOS(App Store):App Storeから「Open Sky」で検索してダウンロード可能
- Android(Google Play):Google Playからダウンロード可能
アプリには英語表記もありますが、一部はタイ語のみとなっています。
Open Skyは以下の機能を提供しています。
- ドローン飛行許可のオンライン申請(Flight Authorization):飛行エリア・日時・機体情報を入力し、申請を送信する
- フライト宣言機能(Flight Declaration):飛行予定を事前に宣言することで、有人航空機との空域競合を防ぐ
- 安全な空域の確認:地図上でリアルタイムに飛行可能エリア・禁止エリアを確認できる
- UTMシステムとの完全統合:タイ全国の航空交通管理システムと連携している
- 関係機関への同時情報共有:申請内容が王立タイ警察(Royal Thai Police)、タイ空軍(Royal Thai Air Force)、CAAT、NBTC(国家放送通信委員会)、陸軍、海軍など複数の関係機関に自動的に共有される
Open Skyの開発コンセプトは「合法的なドローン飛行を誰でも簡単に」。以前は各機関に個別に電話・書類を送付する必要がありましたが、このアプリ1つで一括して申請が完結します。
「今まで」との違い
Open Sky導入以前は、ドローンを飛ばすたびに以下の対応が必要でした。
- CAAT発行の証明書類、NBTCへの連絡、保険証明書、ドローンの写真、シリアル番号など多数の書類を個別に準備
- 関係機関(エリアによって異なる)をそれぞれ個別に調べて連絡
- 承認まで5〜7日の期間を要した
どの機関に連絡すればよいかわからないケースも多く、エリアごとに管轄部署が異なるため、正しい窓口を探し出すだけでも一苦労でした。
Open Sky導入後のメリット
| 比較項目 | 従来の申請方法 | Open Sky利用時 |
|---|---|---|
| 承認所要日数 | 5〜7日 | 1〜2日(約71〜80%短縮) |
| 申請方法 | 各機関に個別に電話・書類送付 | スマホアプリ1つで完結 |
| 関係機関への連絡 | 自分で調べて個別に対応 | アプリが自動的に一括共有 |
| 対応時間 | 営業時間内に限られる | 24時間いつでも申請可能 |
承認にかかる時間が最大5〜7日から1〜2日へと大幅に短縮されたことは、ドローン運用者にとって実務上の大きなメリットです。
Open Skyを通じて飛行許可を申請できる初期パイロットエリアは、ドンムアン空港(Don Mueang Airport)から半径65km(約35マイル)圏内です。
ただし、空港近辺のエリアは原則として飛行禁止です。バンコク中心部は対象エリアに含まれており、今後は段階的に対象エリアが拡大される見込みです。タイのドローン規制の詳細については、別記事「【2026年最新】タイのドローン規制を完全解説|登録・許可・飛行ルールの全手順」も合わせてご確認ください。
- NBTC・CAAT・タイのドローン保険への登録が前提です。未登録の場合はアプリを利用できません。
- 25kg以上のドローン、郵便用ドローン、イルミネーション系ドローンはOpen Sky経由での申請対象外です。
- 土地オーナーからの許可はご自身で別途取得する必要があります。Open Skyはあくまでも関係政府機関への連絡を代行するアプリであり、私有地・施設のオーナー許可までは代行しません。
- 申請後に承認されないケースも多々あります。 特にPending(保留)ステータスが長期間続く場合は、各機関に直接連絡を取ることをおすすめします。実際に運用してみると、アプリから申請しても保留状態が続くことが多く、結局は各所へ直接連絡する方が早く解決するケースもあります。
- 夜間飛行・高度90m以上・BVLOS(目視外飛行)の場合は追加資料が必要です。
まずアプリをダウンロードし、英語でアカウントを登録します。登録にはNBTC・CAAT・ドローン保険の情報が必要です。なお、登録完了まで約5日ほどかかるため、撮影予定日から逆算して早めに準備してください。
STEP 1:準備すべき重要資料
1. 土地オーナーの許可証
コンドミニアムや工場を撮影する場合は、それぞれの法人(Juristic Person)や工場管理者からの許可証を取得してください。公共の公園などバンコク都が管理する共用施設については、バンコク都への問い合わせが別途必要です。なお、公園での撮影許可取得はハードルが高く、過去の事例でもなかなか許可が下りないケースがあります。
2. ドローン保険
CAATへの登録時に必須となる書類です。ほとんどの保険は年間契約となっているため、有効期限内の保険証明書を準備してください。期限切れの場合は受理されません。
3. 基準外・複雑なケースの追加資料
以下のケースでは、標準資料に加えて追加書類が必要です。
- 夜間飛行
- 高度90m以上の飛行
- BVLOS(Beyond Visual Line of Sight/目視外飛行)
詳細はOpen Skyの公式マニュアルをご確認ください。資料が揃っていない場合は許可が下りません。
STEP 2:アプリでドローン飛行許可申請
- アプリを起動し、「+」ボタンを選択します。
- 地図上で飛ばしたい場所を選択し、飛行マップ(飛行範囲)を描きます。
- 「ต่อไป(Next)」を選択して次のステップへ進みます。
- 申込み情報(飛行日時・ドローン機種・目的など)を入力します。カメラ搭載機の場合は「カメラ付き」を選択してください。
- 必要な添付ファイル(上記の許可証・保険証明書など)をアップロードします。
- 申請を送信します。
参考動画(タイ語):แนะนำการขอขึ้นบิน และตรวจสอบสถานะคำขอ #OpenSky
STEP 3:許可申請のステータスを確認
申請後はアプリ内の「Request」タブから申請状況を随時確認できます。追加資料のリクエストが届く場合があるため、定期的にチェックするようにしてください。
承認通知はアプリ内に届きます。承認が下りた後、初めて合法的にドローンを飛行させることができます。
Open Skyはあくまでも飛行許可申請の手続きを簡略化するツールです。以下の前提条件を満たしていない場合、アプリを利用しても飛行許可は取得できません。
| 規制項目 | 内容 |
|---|---|
| 機体登録 | CAATへの機体登録が必須 |
| 操縦者登録 | NBTCへの操縦者登録が必須 |
| ドローン保険 | 有効な賠償責任保険への加入が必須 |
| 飛行禁止区域 | 空港周辺・王宮・軍事施設等は原則飛行禁止 |
| 最大飛行高度 | 原則90m以下(超える場合は追加申請が必要) |
| 夜間飛行 | 追加許可が必要 |
タイのドローン法規全体については、【2026年最新】タイのドローン規制を完全解説|登録・許可・飛行ルールの全手順で詳しく解説しています。
| 機関名 | 役割 |
|---|---|
| AEROTHAI(タイ航空無線株式会社) | Open Skyの運営主体。タイの航空交通管制を担う国家機関。 |
| CAAT(タイ民間航空庁) | ドローン規制の主管当局。機体・操縦者の登録・許可を管理。 |
| Delv Aerospace | Open Skyのソフトウェア開発を担当。 |
| NBTC(国家放送通信委員会) | ドローン操縦者の登録を管理。 |
| Royal Thai Police(王立タイ警察) | Open Sky経由で申請情報を受け取り、承認に関与。 |
| Royal Thai Air Force(タイ空軍) | 空域管理の観点から申請情報を確認・承認。 |
| タイ陸軍・海軍 | エリアによって申請情報の確認・承認に関与。 |
「Open Sky」という名称は複数のサービスで使用されているため、混同しないよう注意が必要です。
| サービス名 | 提供元 | 対象地域 | 概要 |
|---|---|---|---|
| Open Sky(タイ) | AEROTHAI / CAAT / Delv Aerospace | タイ国内(初期:バンコク周辺) | タイ国内のUTMシステム。本記事で解説するアプリ。 |
| Wing社 OpenSky | Wing(Alphabet傘下) | 米国・オーストラリア | LAANC対応のドローン飛行管理アプリ。タイでは使用不可。 |
| OpenSky Network | OpenSky Network財団 | グローバル | 航空機のADSBデータを収集・公開するオープンデータプラットフォーム。ドローン申請とは無関係。 |
タイでドローン飛行許可を申請したい場合は、AEROTHAI・CAATが運営するタイ国内専用のOpen Skyアプリを使用してください。
Q. 外国人でもOpen Skyで申請できますか?
アプリ自体は外国人でも利用可能です。ただし、CAATおよびNBTCへの登録が前提となります。外国人がタイでドローンを飛ばすには、登録手続きや書類準備が複数必要になるため、事前に専門業者への相談をおすすめします。
Q. 観光ビザ(ツーリストビザ)でドローンを飛ばせますか?
観光目的であっても、CAATへの機体登録・NBTCへの操縦者登録・ドローン保険への加入が必要です。短期旅行者が個人で全手続きを完了させることは現実的に難しく、ドローン撮影を目的とする場合はタイ国内の許認可対応業者を利用することをおすすめします。
Q. 申請してからどれくらいで承認されますか?
Open Sky導入後の標準的な承認期間は1〜2日です。ただし、エリアや内容によってはPending(保留)ステータスが続く場合もあります。実務経験上、保留が長引く場合は各関係機関に直接連絡を取る方が早く解決するケースも多いです。
Q. どの機種がOpen Sky申請の対象ですか?
25kg未満の機体が対象です。25kg以上のドローン、郵便用ドローン、イルミネーション系ドローンはOpen Sky経由での申請ができません。
Open Skyは、タイでのドローン飛行許可申請を「スマホ1つ・1〜2日」で完結させることを目指した、AEROTHAI・CAAT・Delv Aerospaceによる共同開発のUTMシステムです。従来は5〜7日かかっていた承認が最大約80%短縮され、関係機関への個別連絡も不要になりました。
ただし、実際に運用してみるとPending(保留)状態が続くケースも少なくなく、必ずしもアプリだけで完結するわけではありません。書類の不備・エリアの複雑さ・関係機関の判断によっては、直接連絡が必要になる場面もあります。
タイでドローン撮影をご検討の企業・個人の皆様は、お気軽にお問い合わせください。タイ全土でのドローン撮影・空撮サービスを承っております。
タイのドローン規制について網羅的に知りたい方は「【2026年最新】タイのドローン規制を完全解説|登録・許可・飛行ルールの全手順」もあわせてお読みください。
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タイで現地採用としてIT企業での営業・WEBマーケティングを数年担当。WEBマーケティングで得た経験や知識を活かしYouTubeを2017年に立ち上げ、翌年2018年にWeb広告代理店事業を設立。SEO対策、動画制作、SNSマーケティングなど幅広くWebマーケティング事業を展開。現在代表を勤める。
