日本へ旅行に来るタイ人も増え、訪日インバウンドを盛り上げる1役としてタイ人がいます。タイ人の所得を理解することは、タイ人が日本へ旅行する際の経済的な背景を理解する上で重要な要素です。タイは中所得国であり、貧富の差が激しい国でもあります。また、タイ国内の都市と地方、職業、教育レベルによって所得水準は大きく異なります。

この記事では、タイ人の平均所得や職業別の給料についてタイの人材紹介会社が公開している2022年のデータを元に調査し、さらに彼らが日本旅行にどれだけの金額を費やすかについても探っていきます。

タイ人の新卒の給料

日本の新卒の給料といえば職業にもよりますが、一般的な営業職等であれば20万円前後ですが、タイの営業職であれば、15,000バーツ前後(60,000円)が一般的な新卒の給料です。また、職業にもよりますが新卒であれば12,000バーツ〜50,000バーツ(48,000円〜200,000円)です。下記では、職業ごとの給料について紹介します。バーツ表記ですので、日本円に換算する場合は1バー = 4円で計算してください。(2023年7月時点)

職種給与
プログラマー 25,000 〜 50,000 バーツ
マーケティング(日本語可)35,000 ~45,000 バーツ
財務管理者35,000 ~ 45,000 バーツ
プロジェクトコーディネーター30,000 ~ 35,000 バーツ
ソフトウェアエンジニア25,000 〜 35,000 バーツ
調達担当者20,000 ~ 30,000 バーツ
会計役員18,000 ~ 19,000 バーツ
テレセールス12,000 ~ 12,000 バーツ
ITサポートオフィサー15,000 ~ 25,000 バーツ
技術者(テクニシャン)15,000 ~ 22,000 バーツ

特にバンコクのオフィスで働くタイ人は、20,000バーツ弱をもらっている人も多く、営業職であれば営業成績によってコミッションが給料に上乗せされるケースが多いです。また、独立して自分で会社や個人事業主として働く若い人々も多く、給料が少ないと感じればジョブホッピングを繰り返し給料を上げていくのがタイでは普通です。また、勤めながら副業で何かしらのモノを販売したりしている人も多いので、ここに書いてある給料以外の収益もあるかと思います。

中堅キャリアの給料

経験1年以上の場合、初任給は12,000バーツから始まり、最高給与は120,000バーツです。一方、経験5年以上の場合、初任給は15,000バーツからスタートし、能力や役職によって最高給与が300,000バーツになることもあります。また、役職や能力によって給与が大きく異なる職業も存在します。具体的には下記に記載いたします。

職種給与
会計および財務18,000-250,000 バーツ
(5年以上の経験者)15,000~350,000バーツ
財務アナリスト30,000-250,000 バーツ
税務コンサルタント30,000-250,000 バーツ
弁護士50,000-300,000 バーツ
法律コンサルタント25,000-230,000 バーツ
プリセールスコンサルタント70,000~250,000バーツ
ソフトウェアエンジニア25,000-270,000 バーツ
研究開発スペシャリスト(R&D)50,000~230,000バーツ

タイ人マネージャークラスの給料

タイ人マネージャー(管理職や役員クラス)レベル以上の従業員の給与相場は、日本のマネージャー職の給料より高く、100,000~700,000バーツ(40万円〜280万円)にまで及び、この職種は高収入のキャリアとして分類されます。上級管理職では、基本的に10万バーツ以上の給料をもらっており、特に外資企業で勤めているタイ人の給料は日系と比べて高い水準にあります。

職種給与
マネージングディレクター250,000 ~ 700,000 バーツ
工場長クラス100,000 ~ 160,000バーツ
法務・財務部長クラス100,000 ~ 160,000バーツ
医師100,000 ~ 150,000バーツ
データ分析ディレクター100,000 ~ 160,000バーツ
人事担当ディレクター100,000 ~ 150,000バーツ

タイ人の平均給料

貧富の差が激しい国ですので、高給もいれば最低賃金で働く人など様々います。また、地域によっても所得に差があるので、平均値で見ると上記で説明してきた内容とは乖離しますが下記にご紹介します。データ元はタイ国家統計局の2021年のデータとなります。

地域平均月収(バーツ)
タイ全国平均27,352.00
1位:ノンタブリ41,129.42
2位:バンコク40,200.77
3位:パトゥムターニー39,506.99
76位:ナラティワット17,512.02
76位:シーサケット16,568.69
77位:パヤオ16,338.27

都心部では、国内外企業の本社や支店が集まり、給与の面で競争が激しいため、高い給与水準が維持されていますが、地方では農業を中心として生活をしている人が多いため給与水準は大きく下がります。

タイの物価

タイの物価

iPrice Group(東南アジア全域に拠点を構えるオンラインマーケティング会社)のデータによると、バンコクは東南アジアで最も物価が高い街の1つです。そのため、給料も年々上昇傾向にあります。上図を説明すると、バンコクでの毎月の支出平均は33,032バーツ(約13万円)ですが、給料は26,502バーツ。給料より支出が多い様です。タイ国家統計のデータでは40,200バーツなので生活には問題はなさそうです。

項目金額(バーツ)金額(円)
家賃12,94250,000
交通費1,0404,000
お水(500ml)1040
マックのチーズバーガーセット150600
映画のチケット150600
ソフトドリンク1560
インターナショナルスクール25,000100,000

タイは安い国というイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、筆者の私は10年タイに住んでいますが10年前と比べても物価は上昇していますし、日本円で換算するとタイが安い国というのは正直あまり正しいとは思えません。もちろん、水であったりタクシー、屋台飯、家賃等生活必需品が安いというのは間違い無いとは思いますが、あくまでもそれは最低限の生活をした場合であって、少しお酒を嗜んだり、綺麗なレストランでおいしい食事を楽しむとなると日本と同等もしくはそれ以上になることがほとんどです。

貧富の差が激しので、全員がお金をある程度持っているわけでは無いですが、バンコクで働くホワイトワーカーの方などは、意外と所得が高くなっています。なので日本での旅行が物凄く高い!という印象を持つ人も少しずつ減ってきていると予測します。

タイ人が日本旅行で使う金額

旅行者によって費用は異なるため、Trip.comが公表している一般的に日本旅行を楽しめる予算を組む際のデータをご紹介します。

支出項目予算
航空運賃20,000バーツ 〜40,000バーツ(往復料金)
宿泊施設1日あたり1,000バーツ- 1,500バーツ
食費1日あたり500バーツ- 1,000バーツ
交通費1日あたり200バーツ- 500バーツ
買い物費用不明

また、タイ人が旅行情報を求めるためによく使うタイ最大の掲示板Pantipでも「旅行にはどのくらいのお金を持っていけば良いのか?」というスレッドが立っており、そこの情報をいくつかご紹介します。

Pantip 日本旅行にはいくら使う?_01

・航空券の予算は11,000バーツ。エアアジアのプロモーションを利用すると約8500バーツで航空券を入手できますが、ベトナム航空の乗り継ぎ便が多いです。
・ホテルはドーミトリータイプで、1泊1人あたりの料金は1200バーツ
・食事については、一食あたり700〜800バーツ。
・空港までの交通費は、安い場合でも1人あたり1,000バーツ。
・市内の旅費は1日あたり800バーツ。
・合計4泊5日なら、19,700バーツ(80,000円程)。
・お土産等は含まないので、最低でもこの金額を持ってくることをお勧めします。

飛行機のチケットは、日本人が取るのと金額は変わりませんがタイ人向けのプロモーションをLCC航空各社が頻繁に打っているため、安い値段で取れることがあります。また、この回答者は格安で楽しめる方法を紹介しているため、ホテル等安めの場所をとっている様です。

Pantip 日本旅行にはいくら使う?_02

・6泊7日の旅行をしたタイ人カップル。
・2人で旅行し、航空券を含めて合計137,000バーツ。これにはホテル代とショッピング費用が含まれています。
・初めてのタイ旅行で、投稿者の彼氏は2回目の訪問。
・買い物はの予算は4万バーツ(16万円程度)。
・タイ国際航空の航空券は1人あたり23,515バーツ。
・ホテル代は6泊で16,700バーツ。
・ディズニーランドのチケットは2人で4,165バーツ。
・予算を削るなら4万バーツ(16万円)程あれば十分だと思う。
・費用の3割近くが航空券なので、安く済ませるならLCCや乗り継ぎ便をお勧めします。

こちらのタイ人カップルは、Pantip内のプロフィールを見る限りお金に余裕がありそうなタイ人です。(パリや韓国への旅行レビュー等も書いてる方)そのため、LCCを使わずタイ航空を使用し、お土産も多く購入しています。ホテルは1泊あたり2,500バーツ(約1万円)。上記で紹介した給料を鑑みると、この予算間で来る人も少なくないかと思います。

まとめ

物価・給料も年々上がるタイ(特にバンコク)であり、新日国家。円安の影響もあり日本旅行者が増え続け、今後もっとタイ人の観光客が日本に行くことは間違いないと思います。10年前は、タイは安い国でしたが、今では給料も上がり、日本が安い国へと変化しつつあるため日本に行くタイ人は増えていきます。

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